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2019年11月6日
国土強靭化は誰が担うべきか
11月に入り、やっと天候が回復しホットしている。今年は台風が多く、日本では台風は避けては通れない宿命とも言える。地震や津波も怖いが、暴風、大雨も怖い。屋根が吹き飛ばされ、河川の氾濫で住宅地や田畑が泥水に覆われた。その被害には言葉もない。天災は防ぐことはできないが、被害を少なくすることはできる。2011年の東日本大震災の後、災害に強い国にしようという国民の理解が深まった。
2013年には国土強靱(きょうじん)化基本法が成立し、今は3カ年の緊急予算措置もなされている。増え続ける天災被害を前に、建物も道路も橋も川も港も、鉄道も電気も通信もそれぞれに強靱化が必要だ。すぐにでも防災対策を実施したいところだが、そうもいかない。多額の費用がかかる。頑丈にするほど高くつく。地権者などの実情、計画、工事を進める施工能力、完成までに必要な年数、全国の中での優先順位など解決する問題は多い。
年を追って凶暴化すると言われる天災と国土強靱化の長い戦いを覚悟しなければならない。国土強
靱化は公共事業だけではない。身の回りにもいろいろある。床上浸水対策の「耐水家屋」は外からの水の浸入をシャットアウトする。窓やドアは水圧に耐え、エアコンの室外機は高い位置、排水管も逆流防止弁を付ける。9月の台風15号では停電が深刻だったが、電信柱から電線地中化への切り替えも効果がある。強風で倒れたり、電線が長縄跳びのように振り回され切れたからだ。欧米では電線ケーブルが地面下に埋められているため風水害に強いという。景観上も良い。ただし、これも大きな費用がかかる。電力会社がやるとしても電気料金に加算される。つまり国民が納得し、負担を受け入れる必要がある。
国土強靱化とは、ほかの誰かがやるのではなく、国民それぞれが担うべきものであると思う。金銭的なことだけではなく、危機意識の持続が必要である。時間とともに平穏な生活が続くと、ついつい忘れがちで記憶も風化してくる。そして強靭化と平行して地球温暖化防止に向けて、アメリカファーストとか経済優先を叫ぶ大国アメリカ、中国にはぜひとも意識を変えてもらいたい。そして我が日本政府も地球が壊れてからでは遅すぎることに気づいてほしい。
テレビには、災害現場で危険な作業、夜通しの作業をする人が映っている。消防、自衛隊、警察、自治体職員、そして建設業の彼らは、それが仕事だとしても、もっと評価されるべきと思う。国民の声援がラグビー日本チームの躍進を支えたように、災害も後始末に携わり、立ち向かう彼らの苦労や努力にも目を向けるべきであると思う。