■2015活動日誌4月■
季節の日々の移ろい、自然の中で感じたこと、後世へ伝えたいことなどを思ったままに綴りました。コメントをお寄せください。
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4月30日(木)晴れ 23℃
連日、お天気が続いているが、ファーム・ガーデンともに一雨欲しがっているようだ。ファーム・ガーデンに設置した水タンクも半分以下となり、心もとなくなってきている。ガーデンの花やファームのブルーベリー、種をまいたところには水をやっているが、予報では5月上旬までは雨は降らないとのことであり、ちょっと心配でもある。蔵王連峰も連日の天気で霞んでいるようであるが、若葉を透過した光が、山のふもとや山道を黄緑色に染めている。ツツジもちらほら咲き始めた。らんまんの春を十分味わいたいが、あっというまに季節は次の衣装をまといつつある。頼んでも、決して待ってはくれない花と春である。今日は引き続き、軽ワゴンの荷台の改造工事パート2を行った。サイドドアからの荷物の出し入れできるように扉をつけたり、補強材を入れたりと大工仕事も楽し。部品は全て、倉庫にあるものをそれなりに充当し組み立てている。大人のおもちゃ感覚で、軽ワゴンを自分専用に使い勝手がよくなるよう少しづつ改造していくのも楽しいものである。
4月28日(火)晴れ 28℃
庭の木々や里山の森が一斉に芽吹くこの時期は心底から高揚感に包まれる。散歩で訪れる森の初々しい新緑を目にすると、とても爽快な気分になる。まさに森林浴の効果だ。春を待つ楽しみの一つに「ばっけ味噌」がある。そしてピザのベースとしても、おいしくいただける独特の苦みと香りが堪らない。気が付けば既に桜も終わり、道端の蕗の薹は大きな花をつけてしまっている。旬とは1か月を3分割した10日間だとか。とすれば旬は1カ月以上も早く過ぎている。「春の料理には苦みを盛れ」。口授される料理の奥義らしいが、短い早春しか味わえない野趣溢れる渋みと香りである。経験浅い舌には少々手強いがほろ苦いえぐみに惹かれ、深みにはまっている。そして道端を通り、森に入ると樹木は自らを外敵から守るためフィトンチッドという香りを発散するという。それには抗菌、消臭、防虫などの効果があるが、人が体感するとストレスで高まる交感神経の活動を抑え、副交感神経の活動を活発化してリラックスしてくれる。さらにがんを抑制するNK細胞を活発化し、免疫力が高まることが近年の研究で明らかになっている。香りだけでなく、森の中の清浄な空気、木漏れ日、小鳥のさえずり、小川のせせらぎなどに接すると自律神経を整え、心身ともに癒やされる。日本人が古来から巨樹に神がやどると信じたのも、森林浴効果を知っていたからなのだろうか。さあ、新緑を楽しみに森林の中をゆっくりと散策したい。
4月27日(月)晴れ 26℃
まだ4月というのに、7月下旬の陽気で真夏が到来したようにお天気が続いている。この陽気で外での作業で体調をくずしてしまった。この暑い中でのアウトドア作業には要注意であることを実感として気づかされてしまった。暑いといえば、先日、チリ南部のカルブコ火山で大噴火があった。噴煙は1万5千メートルまで上がり、隣国のアルゼンチンにも到達したという。25日にはネパールの首都、カトマンズの近郊でマグニチュード7・8の大地震があり、インドや中国など近隣の国を含め約3300人が死亡、多くの建物が崩壊した。山岳地帯の情報が入ってくれば、死者は8千人に達する可能性があるとの情報もある。ネパールは二つのプレートの境界に位置し、これまでにも大地震が頻発している。プレート同士の衝突でヒマラヤ山脈ができたことを思えば、いかに大きな力が生じているかが想像できる。地理的条件は日本に通じる。近い将来の発生が懸念される南海トラフ巨大地震は、最大30万人以上が死亡するとの試算もある。 こうした地球規模の大災害が起きるたびに、世界有数の地震国であり火山国でもある日本の行く末が心配になる。4年前には東日本大震災が発生しており、大地震の数年後には必ず火山の大噴火が起きるという説もあるので、気が気ではない。最小限にするためにも、ネパールの地震を遠い国のことと思わず、改めて備えを見直す機会にしたい。
4月25日(土)晴れ 21℃
私はいつも「五感」という言葉を使うが、「五味」と言う言葉もある。五味とは味覚の基本となる五つの要素であり、もう一度おさらいしてみると「甘味」「苦味」「酸味」「塩味」「うま味」とのことである。調べてみると、最初の四つが基本とされたが、1908年に東京帝大の池田菊苗教授が昆布からうま味成分・グルタミン酸を突き止めた。それは和食のだしで知られ「日本の十大発見」と評価された。この「うま味」は人それぞれでもあり、なかなか難しい。この時季は私にとってシイタケや山菜が「うま味」でもある。我が家のファームから土手まで足をのばすと、「シイタケ」「こごみ」「タラの芽」「フキ」「葉わさび」が自生している。里山の最高のごちそうでもあり、これらが夕食に並ぶと、すべて「五味」が味わえる。そして訪れる知人・友人も「五味」とはまた別の味わいがある。「孤独は喫煙より健康リスクが高い」「人のつながりがないと病気になりやすい」と医学界ではよく言われる。味覚の基本は「五味」だとしても、人とのつながりも大事であり、人生においては「六味」の方がよく似合うのではないだろうか。新年度がスタートして間もなく1カ月たつが至って順調もあれば、それとも苦労の連続もある。人生は「六味」、いろいろあって当たり前。だから味わい深くなるのではないだろうか。
4月23日(木)晴れ 20℃
窓から見渡す山々が、若々しい緑に染まってきた。草木が一斉に芽吹きはじめ「山笑ふ」と形容される季節の到来である。山笑ふは春の季語で、中国・北宋の画家の詩句〈春山淡冶(たんや)にして笑ふが如く…〉に由来する。今日、病院帰りに川崎町青根地区の知人のSさん宅の山桜を見に出かけた。まさに今、この地域は生気や喜びに満ちた春の山のようでもある。暖かい陽気に誘われて、もえ出た青い草を踏んで、野山を散歩してみたくなるほどだ。素足になって草を踏み、自然の息吹をじかに感じ取ることで、英気を養いたくなるほど気持ちがいい。久しぶりに一息つける連休も間近でもあり、気持ちも明るくなる。自然に親しむアウトドア活動には最高の季節でもある。春の季語の「野遊び」を使ったこんな句もある。〈野遊びや肘つく草の日の匂ひ〉。連休中は晴天の日々が続くとの予報でもあり、室内でのPCやスマートフォンをちょっとの間、脇に置いて、アウトドアで日差しを浴びながら、五感で“笑う山”を大いに楽しみたい。
4月22日(水)晴れ 18℃
今日、仕事帰りに沖縄県の石垣島を旅行した友人と話をする機会があった。県庁所在地の那覇市からは410キロ離れており、台湾の方が近い。人口は1980年に約3万9千人だったが、2010年には4万7千人に増えた。農業と畜産以外にこれといった産業はなく、観光が島の経済を支えている。新空港が開港した2年前からは「老後をのんびり暮らしたい」という中高年の移住が増えているそうだ。石垣島から高速船に乗ると約40分で西表島に着く。島内の外周道路は時速40キロ以下に制限されており、地元の運転手はゆっくり走っている。それに対して観光客が運転するレンタカーはせっかちらしく、急カーブを曲がり切れない事故が多いそうだ。マングローブが群生する仲間川を観光船でさかのぼり、板を立てたような根が特徴のサキシマスオウノキを訪ねた。樹齢400年を超えるという巨木は時が止まったようであるという。人の時間もゆったり流れている。気候が温暖なほど時間の感覚がルーズになるのだろうか。こちらは、待ち合わせに多少遅れるのは許容範囲だが「沖縄時間」はもっとおおらかである。酒席に1、2時間遅れるのは当たり前だそうだ。案内してくれた知人は「石垣には何もないさ」と繰り返した。「でも、それが都会の人にはいいのかな」とも。豊かな自然と穏やかな時の流れに、東北の地と共通する心地よさを感じたらしい。 私もいつか石垣島を訪れてみたくなった。
4月21日(火)晴れ 18℃
人は視覚、聴覚、嗅覚、触覚、味覚の五感で天地のエネルギーを受け止め、畏れ敬いながら生きてきた。そして、それを大地に根を張った生きてきた。しかしいま、こうした豊かな天地が次々と奪われている。政治も経済も大都市へ集中し、それに吸い込まれるように大都市に人が集まり、周辺部の乱開発が続いている。供給源の地域は過疎化・高齢化の対応に追われて、地方創生と叫んでいる。あれほど過酷で悲惨な原発事故が起きても、理屈をつけて、なお原発頼みの政策は続いている。沖縄では地元の意向を無視した形で米軍基地の移設準備が進む。TPP問題では人民を無視してご都合主義の利益誘導にひたする進む。中国をはじめとした周辺対応に安保法制の整備が必須であると叫ぶ。「この道しかない」「唯一の解決策だ」とひとりよがりに叫ぶ前に人間本来の五感を原点に人々の思いを感じてほしい。この世には人間の手に負えないものがいくつもある。それを熟知していたからこそ、人々は天地の営みを畏れ、敬ってきた。私たちもまた、少しはその心情に思いをはせた方がよいのではないだろうか。人間の力ですべてを支配できるという考え方は、あまりにも傲慢である。いつまでも利益誘導型の議論ではなく、二つの線の交わりを近づける努力をしてほしい。リーダーは青空の中で叫ぶ天の声を聞きながら五感を研ぎ澄ませてほしい。
4月20日(月)曇り&雨 12℃
二十四節気では4月5日の「清明」に続いて本日は「穀雨」。清明とは雪が降らなくなり、草木が芽吹き始めるころである。対して穀雨になると霜が降りることもなく、暖かい雨が百穀を潤し発芽させる時候をいうそうだ。ただ「雨」の文字があっても雨の日が増えるわけでなく、次第に暖かく日差しも強くなってくる。今日は病院検査(採血・CT検査)の日である。朝起きると昨日の農作業の疲れのけだるさ感がまだ残っている。午後からは雨が降り始め、病院前のしだれ桜もしっとりと雨に濡れている。この雨、穀雨は種まきを始めるのに適し、昔から農作業の目安とされてきた。我が家の周りのあちこちの田畑でも農作業にいそしむ姿が見られるようになってきた。水田ではトラクターが代かきをはじめる準備に余念がない。畑地に目をやると既に緑色の芽を出した野菜もある。もうじき、水を満面にたたえた田植え間近の水田の風景は美しいものである。今、日本のコメ作りは大きな曲がり角にある。環太平洋連携協定(TPP)交渉は大詰めで、生産調整(減反)は3年後の廃止が取りざたされる。昔ながらの田園風景が残されるのか、先行きはすこぶる不透明である。日本の文化である農村の原風景がいつまでも残れるよう、子孫に伝えながら日本のおいしいお米の消費につとめていきたいと思う。
4月18日(土)晴れ 19℃
春の華やぎが我が家の周りに広がってきている。程なく里山の山々は桜色から目にまぶしいもえぎ色に変わるだろう。〈故郷[ふるさと]や どちらを見ても 山笑う〉。長らく郷里を離れていた俳人の正岡子規は、新緑に包まれた愛媛・松山の山々の美しさを俳句にしたためた句である。この時季、ファームにガーデニングにと何をするにも気持ちがいい。そんな中、午後より入れ替わりながら5組の来客があり大忙しでもあった。その話もまた楽し。料理法、キノコ、カブトムシ、鉄魚・ランチュウ、山菜、蕎麦、ブルーベリー、蔵王山噴火等。。。話は尽きない。そして極めつけは笹谷峠(山形・宮城の県境)にある「有耶無耶(うやむや)の関」の話である。街道を行き交う旅人を狙う盗賊が出没し、そこにいつしか怪鳥がすみ着き盗賊が居る時は「ウヤ」、居ない場合は「ムヤ」。鳴いて知らせたと伝わる。今で言う監視カメラかもしれない。蔵王山噴火も、きちんと監視して知らせてほしいと思う。今日はファームの野菜くず置き場製作予定であったが、話の面白さで長引き、明日へ延期。多くの人が我が家に寄り添い、お互いにおすそわけ精神で身の回りのものをたくさんいただき、自給自足ではなく他給自足みたいな生活である。四季折々の風情と人の風情を楽しみながらの生活も心地いいもんである。
4月16日(木)晴れ 18℃
連日、桜の話題が事欠かない。日本三大桜は福島の三春の滝桜、山梨の神代桜、岐阜の淡墨桜である。いずれも国の天然記念物に指定され、樹齢1000年以上と言われる。三春のベニシダレザクラは、下に向かって花が咲きこぼれる。その名の通り、滝が流れ落ちるような、圧倒的な桜の風姿である。三大桜の名所とくれば弘前公園はその一つ。他に吉野山(奈良)、高遠城址公園(長野)を指すのが一般的だ。今年の快速桜前線は超が付く位早い。名だたる名所を早々と通過し、青森県でも満開を迎えようとしている。この季節、桜ソングでは森山直太朗さんが歌う「さくら」は、学校の卒業式でもよく流れる。目に涙をためた女子生徒の姿と清新な桜の花が重なり合う。桜を思い浮かべながら、今日は久しぶりに荷台を改造した軽ワゴン車で、ブルーベリーの師匠宅を訪問した。いつも自然と向き合いながら丁寧に生きているHさんは田舎暮らしの先生でもある。今、川崎町の桜も満開を迎えようとしている。その美しさは名状しがたく、散り際は切ないほどに美しい。桜の変化そしてHさんの生き方はなぜか昔ながらの日本人の魂に響いてくるようである。
4月15日(水)曇り/小雨 18℃
花曇りや花冷えの日が続き、今満開を迎えているあでやかなソメイヨシノの表情も、今ひとつ、さえない顔色である。とはいえ枝先まで花、また花の立ち姿は麗しい。やはり陽光の中の桜は絵になるし、気分も浮き浮きさせてくれる。今日、太白区図書館である本(竹村公太郎著「日本史の謎は『地形』で解ける」)を手にした。太陽は農作物を育てて、人々の命を支えるだけでなく、心まで明るくしてくれる。国の象徴である国旗の図柄になっているのも「なるほど」と思ったが、図柄が「太陽」の国旗は少数派だという。「月と星」の国旗が圧倒的に多いらしい。外務省ホームページの万国旗を数えると、13カ国対53カ国だとか。国の象徴を明るい太陽でなく、暗い夜の月と星にするのは、熱帯や亜熱帯に多い。そこでは太陽が強烈に熱く、人々にとっては苦しみでしかない。活動するのは夜で、月と星は安らぎと精気の象徴というわけだ。そんな国の人たちには、尊敬と親しみをもって「お天道様」を拝む日本人が信じられないに違いない。だが、日本では太陽は稲を実らせてくれる生命の源だ。 太陽に対し、春の彼岸のあたりに豊作を祈り、秋の彼岸のあたりに収穫を祝う。日の出に手を合わせて生きていることに感謝し、日の下で働いて、生きる喜びを噛みしめる。田舎にいると太陽に育まれた日本の風土は実に豊かであると実感している。
4月14日(火)曇り/小雨 14℃
最近のNHK連続ドラマが面白い。そしてあの「あまちゃん」が朝のお茶の間に帰ってきた。BSでam7:15よりドラマの再放送が始まっている。驚きを示す方言「じぇじぇじぇ」が2013年の流行語大賞となり、一種の社会現象になったことは記憶に新しい。これまで朝ドラを見ていなかった層も取り込み、放送終了後はファンの間で喪失感を表す「あまロス」なる言葉も生まれた。現在のNHK朝の連続テレビ小説「まれ」はその能登が舞台。澄みわたった海や切り立つ断崖、そして癒やしの棚田の風景。かつて訪ねた奥能登には心をとき放つ風景があった。キラキラとした光の粒子が、波の上で跳ねているような海が特に印象に残る。父親が借金まみれで、東京から夜逃げ同然で能登に移住した一家の物語である。塩作りや輪島塗、輪島の朝市など風物と心熱い人々との交流を織り交ぜて物語は展開する。今、地方創生が叫ばれているが、こうしたメデイアが地域を取り上げると脚光が当たり、地域に力を与えてくれる。そして一過性に終わらせないためには地域の戦略が試される。わが町、川崎町には国営「みちのく湖畔公園」があり、その集客力はすごいものがある。公園以外にも観光客の足を運ばせるためにも町の戦略は重要で何度も足を運ぶファンをつくってほしいと思う。地道でもいいので、コツコツと地方創生のビジョンを練り上げる戦略が町に求められている。
4月13日(月)曇り/小雨 12℃
「春は親にとって子離れの季節」。知人がしんみりと話していた。息子が県外の大学に合格し、一人暮らしを始める。引っ越しの手伝いを終えた帰りの車中で、妻が泣いていた。思わずもらい泣きしそうになったという。我が家のパートナーも旬のものが採れると、東京の息子夫婦へと、せっせと箱詰めを行っている。♪元気でいるか 街には慣れたか 友達できたか―。さだまさしさんの代表曲の一つに「案山子」がある。都会で一人暮らしをするきょうだいを雪の中にぽつんと立つ案山子に例え、古里にいる兄が気遣う歌だ。♪寂しかないか お金はあるか 今度いつ帰る―。日々の暮らしを案じ、帰郷する日を待つ歌詞は親の気持ちを代弁している。あらゆる身の回りのことは自分で責任を持つ年頃だよといつも言うが、パートナーは母親の心境で、「元気でやっているか」「子供は元気で保育所に通っているか」「風邪はひいていないか」「お金は大丈夫か」―。遠からず親離れの言葉が送っている。子離れしない一抹の寂しさを感じながらも多かれ少なかれ、誰しもが抱く親心なのだろう。
4月12日(日) 晴れ 14℃
朝起きて間もなく鶯の鳴き声をよく聞くようになった。「梅に鶯」とはよく言ったものだ。そのほかに木々と小鳥の組み合わせの言葉として「竹に雀」や「柳に燕」「牡丹に唐獅子」なんていうのもあるが、梅と鶯はとりわけ似合う気がする。春が心に響くせいかもしれない。そして神社ののぼり旗が、あちこちで風になびく。農作業が始まる春は1年の豊作を願う祭礼が多い。希望の季節到来を告げる祭りに誰もが心を躍らせる。縁起をかついで、今日は午前が日がよいとのことで、朝起きるとすぐに「こいのぼり」をポールにとりつけた。晴れ渡る青空の中で心地よい風になびく姿は微笑ましく優雅でもある。そして薪ストーブ会の集まりの帰りにパートナーと近くの土手に出かけた。咲き始めた桜と梅の花を眺めながら「シイタケ、ふき、葉わさび、セリ」を摘み取る。これこそが田舎暮らしの最高の贅沢だなあと土手に腰かけて話をする。そして夕食に並ぶ品々の旬の香り・歯ごたえがたまらない。鶯の「ホー、ホケキョ」に「うまい」と思わず褒めてみたくなるほど気持ちのよい日和の一日であった。
4月11日(土)小雨/曇り 12℃
桜前線は例年より早く列島を北上し、37年ぶりに皆既月食と夜桜が重なり“月食花見”を演出したり、関東などでは4月の雪が咲いた花に降り積もった。あれこれ話題を振りまきながら仙台にも到達し、見頃は目前に迫った。今日は「野菜大好きクラブ」のメンバ7人で柴田町の一目千本桜の鑑賞会を開催した。やや小雨模様であったが、蔵王連峰を背景とした白石川と桜並木のコントラストは絶景の一言に尽きる。今年は千桜橋もできて船岡城址公園へ登れる花の回廊もできて、その魅力もさらにアップしている。Kさん宅でお茶や山菜料理のおいしさに舌づつみをうちながら、気の合う仲間同士で楽しいひと時を過ごすことができた。桜を愛でながら宴を催す日本独特の花見文化。桜が特別なのは「綺麗なだけでなく早く散るから」と日本文学研究者ドナルド・キーンさんは言う。長く咲かず大きな実も結ばない。華麗さに潜む寂寥と言っている。キーンさんは、東日本大震災で深刻な被害に遭っても破壊や略奪がなく、助け合った日本人の姿に世界が驚いたと語っている。原発事故で全域が避難区域の福島県富岡町は今が満開だが、名物の桜並木の大半は人が入れない。被災者が元の暮らしを取り戻せるよう、そして桜がゆっくりと愛でられるよう切に願う次第である。
4月9日(木)晴れ 9℃
仙台の桜も満開を迎えた。満開の花は今にも細い枝からこぼれ落ちそうだ。春風が吹くと、地面が、水面が染まる。その美しさはまぶしい限りである。そして群生しているタンポポが黄色い花を一斉に咲かせていた。ぱっと開いた花々は太陽に向かって背伸びしているかのようだ。実際、タンポポは“体操”することが知られている。花が咲き終わると、茎はいったん倒れて横たわる。やがて種が熟すころに再び立ち上がる。綿毛の種が遠くへ飛ぶよう、花が咲いていた時よりも高く背丈を伸ばす。タンポポの営みに、今春、社会人として歩み始めた新入社員らの姿が重なった。この先、失敗して気持ちがなえることもあろうが、前を向き、そのたび大きく育ってほしいと思う。今年のサラリーマン川柳の入選作に〈新米の味は職場の水しだい〉とある。将来、立派に実をつける新人を育てるには、厳しく鍛え応援しながら、現在、顧問をしている会社の豊かな「土壌つくり」も耕作していきたい。でもこの季節、世界に誇れる日本の桜の風景そして「花吹雪」を思う存分味わってほしいと思う。
4月8日(水) 晴れ 5℃
きょうは花祭り。お釈迦様の生まれた日と言われている。寺では花々で美しく飾った「花御堂」に釈迦像がまつられ、詣でた人たちが次々と像にひしゃくで甘茶を注いで手を合わせている姿がニュースが流れている。今日は病院DAY。K歯医者では定期的な歯槽膿漏チェック、Mクリニックでは定期的な検診&胃腸薬、K病院で診断書作成依頼と3病院を渡り歩く。街中は花祭りを祝うかのように桜が咲き始め輝いている。そして入学式も行われており正門前で記念撮影している光景が多く見受ける。また、花祭りには、幼稚園児らによる稚児行列もあちこちで見られる。きらびやかな衣装に金の髪飾りを揺らし、唇にはちょこんと紅。あどけない子たちが練り歩く様子を、沿道の人々が笑顔で見送る。なんてほほえましい光景なんだろう。帰り途中で釜房湖畔を通ると沈みかける夕日が残り火が燃えるかのようにきらきら輝いている。これから迎える花咲く春の里を思うと心が浮き立つ。まさに桜、蔵王連峰、釜房湖のコラボレーションも始まろうとしている。
4月7日(火)曇り 12℃
最近、ほとんど見掛けなくなった二千円札。2000年から発行されたが、他の札と間違えやすく、ATMや自販機で利用しづらいなど使い勝手の悪いイメージが広がり流通が停滞している。一時は約5億枚が出回ったが、今は約1億枚。4種類ある全紙幣のうち0.8%にとどまる。でも、沖縄は違う。9割のATMで使え、店舗でも釣り銭に使う。日銀那覇支店によると発行高は年々増え、500万枚近くに。故小渕恵三首相の肝いりで沖縄サミットの時に登場し、モチーフになった守礼門は平和希求のシンボル。沖縄の熱い思いが札に込められている。沖縄と言えば米軍普天間飛行場の辺野古移設をめぐり、菅義偉官房長官と翁長雄志沖縄県知事が会談した。「粛々と移設作業を進める」とする官房長官に、知事は「上から目線だ」と反発。「『粛々』という言葉を使うほど、県民の心は離れ、怒りは増していく」と批判した。自然豊かな辺野古の海にさおさすからには、「おそれつつしんで」県民の声に耳を傾ける姿勢は当然である。だが、官房長官の「粛々と」は、無礼に「聞く耳持たぬ」と言っているようである。官房長官は記者会見で、「粛々と進める」との表現は今後使わない意向を示した。言葉遣いの問題ではない。「粛」の本来の意味は、慎む、敬う、厳か、正す、清らか…。そんな「粛々」の態度で、基地負担に苦しむ沖縄の人たちに向き合ってほしい。菅義偉官房長官は秋田の湯沢出身である。同じ東北人の慎み深く、温かい気持ちで接してほしいと願う。
*参考↓流山市おおたかの森小中学校の動画を覗いてみてください↓
4月6日(月)晴れ/曇り 15℃
あまりテレビを見なくなった。テレビとともに育ち、テレビっ子を自任した時期もあったのに、今は習慣で定時ニュースが気になるくらいだ。自然や人間を追うドキュメンタリーは見応えがあるが、全て録画中心で空いた時間に見るくらいである。新聞番組欄を見ると、春の番組改編時期に入り、お笑いタレントをかき集めたバラエティー中心の番組作り、クイズや旅、食べ物など、制作費を抑えたテレビ局の事情が見えてくるようだ。という訳で最近は寝床でラジオを聞く時間が増えてきた。お気に入りは早起きのせいもあるがNHKラジオ「朝一番」である。テレビとは違って、自分一人に語り掛けるようなアナウンサーの口調でお便りやローカルな出来事が心地よい。今日の朝起き掛けにIPADを見ると、息子の設計した流山市の「おおたかの森小中学併設校」の写真が送られてきた。満開の桜が咲くキャンパスで子供たちや父兄等がはしゃぎながら弾けるような力強い息吹を感じる。そして「欽ちゃん」の愛称で親しまれるタレントの萩本欽一さんも桜咲くキャンパスで今春、大学生となる。大劇場公演を昨年3月に引退後、受験を決意し、猛勉強の末に駒沢大仏教学部に合格。73歳のチャレンジだ。生前、お笑いコンビを組んでいた坂上二郎さんもきっと天国から「飛びます、飛びます」と盟友のさらなる飛躍を応援していることだろう。鯉のぼり用のお手せいのポールをたてながら、私も勇気と刺激をうけて、年甲斐もなく、これから咲く桜の下で弾んで新たな一歩を踏み出してみたい心境に駆り立てられた。▼座右の銘『反省はしても後悔はするな』▼
4月4日(土)晴れ 14℃
「ながながと桜の上や月一つ」正岡子規。満月の今日は、皆既月食の特別な夜。こんな好機は後にも先にもほとんどないらしい。次に桜の季節に重なる17年後は4月25日になるらしい。夜19時15分すぎから欠け始め、20時54分~21時06分の12分間「皆既食」となる。赤銅色の月と夜桜の共演に胸が高鳴る。やや曇りがちであったが、何とか天体ショーを観測することができた。今日は新入社員の歓迎会。その帰り道、家の周りは連翹の黄色の花がいっぱい咲きはじめている。色彩は遠目にも実に鮮やかで、花のあと小さな葉が萌え出る姿も感動を覚える。そして、鼻先をふわっと甘い香りがかすめた。振り向くとジンチョウゲ。赤いつぼみが手まり状に集まる中に、白い小花がいくつも咲いていた。ウメも負けじと駆け足で春到来を告げている。桜前線も既に東北地方に入り、風情ある桜と月見を楽しみながら正岡子規の句もこんな中で詠んだのではないかと想像する。今日のロマンチックな夜は心が悩まされるほど風情がある。
4月2日(木) 晴れ 14℃
新生活へと旅立つこの季節。以前に特別なはなむけの言葉はなくとも、ただ笑みを浮かべ、ときに唇をかみ締めるように送り出す姿に支えられたことがある。胸にぐっと抱きしめていた思いが長年たってじわじわとしみてくることが思い出された。今日は昨日からの雨もやんで、空気も何かすがすがしい。今年のモットーに「シンプルな暮らし」を掲げ、生活の贅肉を落とすことを心がけている。四半期に1回、その整理に手を付けた。たんすには何年も着ていないシャツ、物置には引き出物として頂戴した食器。いつか使うかもと思うと捨てられない。思い出があるものならなおさらだが、最近は割り切って品々を片付け、処分をはじめた。日本で大ヒットした、片付け方を指南する本が世界的ベストセラーになっている。「人生がときめく片づけの魔法」の英語版である。著者の片づけコンサルタント近藤麻理恵さんが勧める方法はこうだ。洋服でも本でも、一つ一つを手に取り「心がときめくかどうか」で残すものを見極める。役割を終えた服や雑貨は「今までありがとう」と感謝して処分する。本当に気に入ったものだけを大切に使おうと呼びかける。読書面の「売れている本」の常連「フランス人は10着しか服を持たない」の内容と重なる。パリに留学したアメリカ人の女子学生が、ホームステイ先の家族の生活スタイルを紹介する。父親も母も、服はお気に入りの10着ほどを着回す。量より質の日常の心地よさが描かれる。消費税が8%になってから1年となる。アベノミクスによる景気回復も地方ではなかなか実感できない。円安による値上げも続々だ。暮らし方を見直して豊かさの意味をいま一度考えたいと思う。