■2024 活動日誌4月■
季節の日々の移ろい、自然の中で感じたこと、後世へ伝えたいことなどを思ったままに綴りました。皆さんのコメントをお寄せください。
2024年4月27日 晴
離したくない 働いて働いてやっと手に入れたこの年齢だもの!
久しぶりに夏目漱石の「三四郎」を読んだ。大学入学のため熊本から上京する汽車の場面から始まる。主人公は隣り合わせたヒゲの紳士から「食べませんか」とすすめられ、桃を一つ、また一つとほおばる。桃は古来、日本人に親しまれてきたが、それは見て楽しむ花桃のこと。品種改良で実った甘い果実を桃と呼ぶようになったのは明治半ばという。「三四郎」が書かれたのは明治41(1908)年。日露戦争の戦勝に沸く世相の中で、新しい時代を象徴する味だったと思う。三四郎のように、田舎を出て身を立てようとする若者が出てきたころ、「青春」という言葉も生まれた。明治とは現代の基点である。そういえば地球温暖化も、20世紀を迎えた明治の終わりから、大気中の二酸化炭素濃度が急カーブで上昇し始める。先月末、男性の国内最高齢だった千葉県の112歳が亡くなった、と小さな記事にあった。明治生まれの最後の男性である。高齢といえど先日、落合恵子の講演を聞いた。昔は文化放送のでデスクジョッキーで「レモンちゃん」の愛称で深夜放送をよく聞いたもんだ。彼女ももう79歳。「離したくない働いて働いてやっと手に入れたこの年齢だもの」の言葉が理解できるよになってきた。千葉県の男性が産声を上げた明治44(1911)年の歴史をひもとけば、漱石が文学博士の学位を辞退、とある。「ただの夏目なにがしで暮らしたい…」。そんな断りの手紙を書いたという。「ただの人」が生きた112年、この国はどこへ向かってきただろう。明治は遠くなりにけり。
2024年4月20日 晴
ローカル線「みちのくさくら巡り」を終えて
ローカル線みちのくさくら巡り紀行も終了した。かれんな花びらを見せ始めたら、もう満開そして散り終わりを迎えた。築山を覆うように咲く桜は花火のように美しい。だが、「花に嵐」の例えがあるように、林芙美子が「花の命は短くて苦しきことのみ多かりき」と書いたように、必ずといっていいほど花散らしの雨が降る。咲き満ちた花も自らの散る時を知るかのよう。日本人が桜に殊の外ひかれるのは、この花に人生を投影するからだろうか。ある本の「日本列島桜花巡礼」を思い立ち、この季節になるとなぜか全国の桜を巡ってみたくなる。北上する桜前線の速度は時速1キロに満たず、人がゆっくり歩くくらいの速さと聞いたことがある。若い頃は花より団子だったが、年齢を重ねるにつれ、巡り合ったすてきな景色を心に焼き付けておきたいと思うようになった。そのためか、桜巡礼を思いつき巡り続けている。桜は新たな出会いを演出してくれる。まだ見ぬ名木もまだまだある。ローカル線と一緒にゆっくりと、気のゆくまま「桜めぐり」のガイド本とともに。
2024年4月9日 雨
気くばりのすすめ(弘前の青春)
NHKの名物アナウンサーとして活躍し、ベストセラー「気くばりのすすめ」をはじめ多くの著作を残した鈴木健二さんが亡くなった。95歳。91歳になった2020年には「最終版 気くばりのすすめ」を書き下ろしている。失われた食事の作法、良き日本語の退廃、歩きスマホの罪深さ…。昭和、平成、令和を通じ鈴木さんが見た日本人の心の変容について嘆くとともに、改めて気くばりの大切さを説いている。気くばりは、愛、優しさ、思いやり、親切、勇気といった人間が持っている美点がなんらかの動作として表れるものだという鈴木さん。こうした考え方の根底に、中学卒業直前の大空襲で焦土と化した故郷・東京の姿と、その半月後に旧制弘前高校に進学し3年間を過ごした弘前での日々があった。「津軽は私のいのちである」。かつて鈴木さんが青森(弘前)に寄せた文章に青春時代で過ごした弘前への思いにあふれた言葉が見える。誇らしくも輝かしい10代の青春だったと回想し「私のすべての思考と行動は、今日でもここを原点として出発している」。そして最後は1999年から5年間、青森県立図書館と県近代文学館の館長を務めた。私も弘前が大好きである。鈴木さんと同様に学びの心にたくさんの種をまいた弘前へ出かけたくなった。
2024年4月3日 晴れ
森林環境税で本当に森林を守ってほしい!
やわらかな陽光に誘われて草木が芽を吹きだした。いよいよ山笑う季節がめぐってきた。東京をはじめ仙台も2日に桜開花の便りが届いた。桜前線は今月中旬には東北全体にもひろがりそうな気配である。庶民とすれば、暮らし向きの改善を新年度こそ期待したいところ。しかし円安や人出不足に伴う商品・サービスの値上げ、一部高齢者の各種保険料引き上げ、新型コロナウイルス医療の公費支援終了など暮らしへの逆風は強くなりそうだという。台所事情の好転は望み薄かもしれない。さらに24年度から個人住民税に上乗せされる形で「森林環境税」なる税が徴収される。1人当たり年間千円。手入れが行き届いていない森林の保全や整備、木材利用の促進に向け、国が自治体に配分する「森林環境譲与税」の財源となる。森林の荒廃を食い止めることは防災、地球温暖化防止につながる-。環境税創設の理由である。森林資源は何にも代え難い財産で、環境税は財産を守るためのコストと解する。健康的な森林を育むための循環利用には木材活用が欠かせないが、日本の自給率約40%は外国に比べて低い水準。国産の木を使うことが、元気な森づくりへ気を使うことになるのではないだろうか。
2024年4月1日 晴れ
2024問題を皆で支え合って乗り越えよう!
高知で開花が発表された。東京では一足先に乾通りの一般公開「皇居の通り抜け」が始まると同時に3/29に開花した。つぼみが開けば一気に淡紅色の春景色が広がる。こちら川崎町は今、梅が咲き始めた。もう少しで満開になり、白い花々が愛しい。きょうから4月。桜の季節である。仙台や川崎町の桜ももうじきである。豪華な花見であれ、貧乏花見であれ、花の景色は楽しめるもんである。そして新年度がスタートする。法律を含め、新制度も始まる。「働き方改革関連法」はその一つ。2019年4月の施行から5年。業務内容に配慮し、猶予期間が設けられていた医療、自動車運転、建設業などへの適用がきょうから始まり、残業時間に上限が設けられる。人手不足も重なる中、業務をうまく回せるか。「2024年問題」といわれるゆえんである。コロナ禍もきっかけになった、人との接触制限で在宅勤務やオンライン会議が広がった。タブレットやスマートフォンを駆使し、オフィス以外の場所で仕事をする「ノマドワーカー」、働きながら休暇を取る「ワーケーション」という言葉も生まれた。「どこで」より「どう働くかが大事」と価値観を変わってきた。一方、外出自粛で物流量が増えた。医療や介護など対面で接しなければ成り立たない仕事も多い。とはいえ、誰かに負荷がかかりすぎるのは問題。企業努力に加え、再配達防止へのちょっとした心配りなど利用者の立場からも貢献していきた。コロナ禍と同じように、お互いに支え合ながら「2024年問題」を乗り越えたい。