2019活動日誌 7月
季節の日々の移ろい、自然の中で感じたこと、後世へ伝えたいことなどを思ったままに綴りました。皆さんのコメントをお寄せください。
2019年7月31日 晴れ 36℃
ああ 懐かしきニッポンの夏!
久しぶりにラジオから落語が流れてきた。ご隠居が縁側から声をかける。「植木屋さん、ご精が出ますな」。よければこちらに座ってお付き合いを、と涼み酒を勧めた。さかなは氷で冷やしたコイの洗い。植木屋のまいた水のおかげで庭にはさぁっと夕立が通り過ぎたよう…とはちょうど今ごろ、夏の盛りに聞きたくなる情景描写の一つではないだろうか。暗く湿った梅雨のトンネルを抜けたら、不意打ちの酷暑がやって来た感じで、仙台も猛暑日が続く。暑い、熱い。暑さに体がまだ慣れていないせいか、余計にこたえる。しばらく続くらしい。こまめな水分補給、クーラーの使用など熱中症対策に気を配りたい。縁側で風に吹かれ、冷たいものでのどを潤す。窓を開け放ってしまえば、そこはもう戸外である。落語のように粋に夕涼みといきたい。川崎の我が家の縁側に座り、青々とした田んぼから吹き抜ける風を感じながら、「とうもろこし」「すいか」をいただく。まさしく「心の縁側」である。今日は夕涼みした後は飲み仲間との懇親会。こうした懇親会も心に涼味を与えてくれる、そんなひとときかもしれない。ああ、懐かしきニッポンの夏。
2019年7月30日 晴れ 34℃
「田んぼアート」は稲の芸術作品だ!
最高気温が34度と、あまりの蒸し暑さに、日中の外出がためらわれるほどで今後もしばらくは体調管理が欠かせない。この時季になるとなぜか「田んぼアート」を見たくなる。この暑さは、稲の成長には願ったりかなったりで有名な田舎館村が全国に誇る「田んぼアート」も色付きを増しているそうだ。今年の田んぼアートの第1会場は、国内外で人気のNHK連続テレビ小説「おしん」の名場面を7色8品種の稲で描き出した。おしんが奉公のため、両親の元を離れて川を下る感動のシーンを表情豊かに再現しているという。最近では各地で行われている田んぼアートだが、この田舎館村の田んぼアートはまさしく芸術である。遠近法の採用で芸術性が高まると、それまで3万人ほどだった観覧者が一気に増えて、今では30万人以上を集める年もあるというから、隔世の感がある。見ごろ時期は例年7月中旬~8月中旬で、この時期は稲が隙間なく生育し、発色も良くアートが最も綺麗に見える時期だ。8月下旬以降は出穂や葉の変色により全体的に色あせていくが、その変化もまた田んぼアートの魅力ともなっており、季節によって表情を変えるアートもまた楽し。この田舎館村ではコメ作りの村の名声を高めた田んぼアートが「石アート」や「冬の田んぼアート」も始めるなど、毎年、工夫とアイデアを駆使して多くの観光客を呼び込んでいる。我が川崎町でも「みちのく公園」の集客を何とか観光に結びつけられるような妙手はないものだろうか。
⇓ 7月30日 ⇓ ⇓ 8月13日 ⇓
2019年7月29日 晴れ 34℃
飲水思源(いんすいしげん)を思う!
やっと梅雨も明けて、夏らしい暑さが戻ってきた。暑くなる前にと思い、朝早くからファームへと向かう。作業の休憩の合間には水が欠かせない。ごくごくと飲み干す水はおいしい。中国に「飲水思源(いんすいしげん)」という古いことわざがある。水を飲む時、その水源のことを忘れてはならない、という教えでもある。今、飲んでいる水は水道水ではなく、山の自然水であり、すっかりこの水のおいしさに慣れてしまい、あたりまえのようにごくごくと飲んでいる。このようにおいしい水が飲めるのは、一体誰のおかげか―本当に水のありがたさに感謝している。そんな中、貿易摩擦関連でよくこんなニュースが流れている。米国市場から締め出しを食った中国通信機器大手ファーウェイの最新スマホは、部品の半分ほどが日本や韓国、それに米国の企業製で占めるそうだ。情報社会の「水源」をたどれば、日本の技術が「安価で高性能」の一端を支えている。深刻化する米中対立で泣かされているのは誰か―思えば気分が沈む。日本政府が韓国に対し、半導体素材の輸出規制強化に踏み切った。戦時中、朝鮮半島から動員された元徴用工の賠償問題を巡り、韓国政府への事実上の対抗措置という。両国で「解決済み」だった問題をこじらせた韓国側の姿勢には首をかしげざるを得ないが、貿易を政治の道具にするのは「トランプ流」と大差ない。半導体を使ったスマホやテレビの部品は日韓の企業間で相互に使われており、「違うのはメーカーのラベルだけ」といわれるほど。無益な報復合戦で泣かされるのは誰か。「一衣帯水」とされてきた日韓関係。一本の帯のような、ひとまたぎで越えられる川。しかし今、横たわる寒々とした流れは岸辺さえ見えない。歴史という悩ましい「水源」であると感じている。
2019年7月24日 曇り 25℃
思いやりの心は日本人の美徳である!
思いやりという日本語は、ぴったり対応する外国語がなかなか見当たらないという。欧米人が自己主張を重視するのに対し、日本人は他者との協調を大切にすることの表れなのだろうか。思いやりは日本人の美徳であり、うまく生きるための知恵でもある。しかし近ごろは日本社会でも、やたらと自己本位の主張をしたがる人が増えたように感じる。欧米人は議論で相手を屈服させようとする。日本人は相手を追い詰めず互いに納得できる着地点を探る。グローバル化が進んだ近年は、日本人もディベートの能力を磨かないと生き残れないといわれるようになったと言われる。とはいえ互いに持論にこだわれば、行き着く先は武力の勝負となりかねない。2019参議院選挙も終わった。政治は国民の鏡といわれる。政治家の言葉も日本流が薄れてきているようだ。今回の参院選では悪口やののしりが目立った。この国のリーダーである首相からも、相手をおとしめる言葉が相次いだ。国会論戦でも他者を論破しようと力むばかりで説得の姿勢が見られない。互いの批判が拡散し、合意という焦点を結ばない。宮城選挙区は統一野党候補が勝利した一方、全国的には与党が堅調だった。今後も自らと相いれない人々を置き去りにすれば分断が深まるだけであり、日本人の本来持っている思いやりの心をもって政局運営にあたってもらいたいと思う。
2019年7月21日 曇り/雨 21℃
ぎらつく夏の太陽のもとでビールが飲みたい!
この季節、夕食前にビールを飲みたくなるが、梅雨もなかなか空けず、雨が続いていることもあり、めっきりビールを飲み機会が減ったような気がする。ビールを愛した詩人に高村光太郎がいる。〈何もかもうつくしい/このビイルの泡の奮激も/又其(それ)を飮(の)むおれのこころの悲しさも〉とある。
ビール好きが高じて、飲み方にもこだわりがある。「ビールをのむ時つまみ物は本當(ほんとう)はいらない」。つまみは口寂しいから用意するだけで、なるべく味のない物がいい。のしイカなどよりも、「生胡瓜(きゅうり)ぐらゐがいい」と。記録的な日照不足で、ビール類の売れ行きが振るわない。キュウリをはじめとする夏野菜は病害や生育の遅れで、価格が5割も上がっているという。「大暑」を迎えても、はっきりしない天気になりそうだ。そして梅雨寒が続いている。この天候のせいかもしれないが、家内も風邪をひいてしまい、体調もイマイチで休んでいる。蕎麦試食会(昨年栽培した品種:階上)も終わりほっとしているが、今はブルーベリー最盛期で、なかなか休む暇もない。週末には梅雨明けがあるとの予報で、日照が戻りそうである。冷えたビールやきゅりを味わいながら、ぎらつく夏の太陽が本当に恋しくなる。
2019年7月18日 曇り 23℃
夏の星空が恋しい!
俳誌「ホトトギス」を創刊した正岡子規は、本来の俳句以外にも短歌や評論、随筆などに才能を発揮した人物でもある。2017年9月に小さな旅で東京根岸にある「子規庵」を訪れたことを思い出した。文豪夏目漱石の盟友でもあり、日本の近代文学の隆盛に大きく貢献した。しかし結核を患い34歳で若すぎる生涯を閉じた。そんな子規に美しい星空を詠んだ歌がある。「真砂(まさご)なす数なき星の其(そ)の中に吾(われ)に向(むか)ひて光る星あり」。砂をまいたように無数に輝く星たち。その中に自分を見つめるような親しげな星を見つける。感受性豊かな一首である。星の連作7首の一つというが、ほかにこんな歌もある。「たらちねの母がなりたる母星の子を思ふ光吾を照(てら)せり」。幼くして父を亡くした子規にとって、母の存在は非常に大きい。母が天上の星になってわが子を見守るように、温かい光が私を照らしてくれると詠む。梅雨が明けず、星空を眺めることができない日々が続くが、晴天時にはぜひとも夏空の星をみつめてみたいと思う。そして子規が大喀血(かっけつ)のため病床にあったとき、母・八重が裁縫をしながら話し相手になり、好物の焼き栗などを買ってきたことは有名な話。自著「病牀(びょうしょう)六尺」にも記されている。こうした研ぎ澄まされた感性はどのようにして生み出されるのだろうか。これが芸術なのだろうか。私も自然の中に身をおきながら、こうした感性がなかなか出てこない。でも、自然の中に自然体でいられることだけで満足している自分がここにいる。
2019年7月15日 曇り 22℃
梅雨の季節を楽しみながら。。。
今年の梅雨は長く、お日様が恋しくなる。梅雨時といえばジメジメとして生乾きの洗濯物やカビが気になる季節である。梅と雨からなる「梅雨」はもともと中国で生まれ、江戸時代に日本に入ってきた言葉らしい。「梅の実が熟す頃に降る雨」や「黴(かび)が生えやすい時期の雨を意味する黴雨(ばいう)が季節の植物に読み替えられた」といった語源説があるとか。「降る音や耳も酸(す)うなる梅の雨」(松尾芭蕉)。俳聖にかかれば長雨のうっとうしさも、爽やかな梅の酸味に取って代わられるから不思議だ。我が家の黄熟の梅もやっと梅干しを漬け終えた。わが家も数年前から自家製に取り組んでいるがこれがなかなかの手間仕事。一個ずつ丁寧に洗って水気を切り、容器は煮沸し手も小まめにアルコール消毒といった具合だ。一番の大敵のカビ対策である。塩の加減にも気を配る。多過ぎれば体に悪いし、少な過ぎればカビの原因になる。そこまで気を使っても失敗する年があるから奥深い。ちょうどいい塩梅(あんばい)の難しさを実感する。梅雨が明ければ三日三晩の土用干しが始まる。そんな楽しみを待つ“梅の雨”も意外と悪くないと思いながら、ラジオを聴きながら今日もブルーベリーを摘み取りに追われる。多くの方が訪れ,青い粒を口に頬張りながら、楽しそうに群青色の宝石をかごに入れながら微笑む。この光景を見るとファーム生活の楽しさ・充実感を実感する。こうした生活も、なかなか止められないなあと、ふと思ってしまう今日この頃である。
2019年7月11日 曇り/霧雨 19℃
経済用語「心の会計」を紐解く!
最近、パワーがないなあと思う場面によく出会う。先月の「小さな旅5」や「小さな旅6」の編集をやっと終えた。今までなら忘れないうちに空いた時間もあれば、一気に書き上げたのだが。。。そして仕事やファーム作業後は21:00には床に入るようになってきた。更に連日スケジュール予定が入っていると億劫になってくるようになってきた。加齢と体力と知能が下り坂を意味しているのだろう。さて気を取り直して、人間の行動心理に基づいた経済用語に「心の会計」という理論がある。私なりに分析してみた。例えば音楽会に行くかどうかは、事前に振り分けていた予算項目「娯楽費」の残高を確かめてから決定していた。家計は光熱費や家賃、衣服、教育費など多方面にわたるがすべて家内任せ。だからもっと全体に目配りが必要とは思うが。残金が少なければ我慢するが、余裕があれば「自分へのご褒美」と称してぜいたくしても構わず使ってしまう。確かに、コーヒーを買うときにガソリンや書籍、電話料まであれこれ考慮するのは面倒くさい。それより毎日の食料品やランチと同じ「食費」の範囲で計算するのが現実的である。どうやら費目ごとに支出を決める「心の会計」は、大ざっぱな人間にはうってつけとはいえ、概して合理的な方法とはいえない。まして今後の経済状況を考えればなおさらでもある。参院選の舌戦たけなわ、有権者の関心の一つはお金の問題ではないだろうか。「老後資金2千万円不足」で年金不安は高まり、秋には消費税10%が導入の予定。米中貿易摩擦で景気にも陰りが見える。「心の会計」はもはや無理筋。家計の総点検が不可避な現実となってきた。
2019年7月8日 曇り 19℃
誤嚥を防ぐ意味でも早とちりは禁物である!
最近、コーヒー、緑茶などの飲み物に「とろみ」を加える飲み物が人気だそうだ。加齢や病気などで飲み込む力が衰えると、さらさらした液体が誤って気管に入ってしまうことがある。とろみを加えるのは、液体の動きをゆっくりにし、誤嚥(ごえん)を防ぐためだ。食べ物などの誤嚥は時に命にかかわる。誤嚥性肺炎で昨年亡くなった人は全国で3万8千人余もいるそうであるから、びっくりと同時にその予防として、こうした商品が開発されたこともうなずける。誤嚥を招きかねないのは「ぱさぱさ」「ばらばら」の食べ物などだという。そういえば、老後資金2千万円問題はすんなりのみ込めず思わずむせそうになった。老後に「潤い」を感じられるか、多くの人が心配になっただろう。自らお願いして発足した審議会で、思うような結果がでないことにより、審議会報告書の受け取りを拒み、収めにかかった政府側の姿勢はのめない。本当に都合の良いデータや自分たちに有利な結果ではないと拒否をする、安倍政権の体質が顕著にでている事例であった。今は参議院選挙の真っただ中。1強多弱と言われるほど「小粒化」した野党。今回の参院選では本県など全ての改選1人区で候補を一本化し、自民党に対抗しているが、突き詰めれば基本政策の違いはある。選挙後、ばらけることはないのか。与野党の主張はそれぞれだが、耳障りのよい言葉や「早のみ込み」点は考慮し、本質を見極めたい選挙でもある。
2019年7月3日 曇り 24℃
日本地図を眺めてみると。。。
梅雨の合間のお天気の中、前日の梅採りの残っている梅採りやファーム草刈り、蕎麦ファーム周辺の草刈りに精をだした。お昼に新聞を見ると日本の西の端が先へ延びた記事があった。国土地理院が沖縄県・与那国島の西側にある岩を基本地図「2万5千分の1地形図」に新たに記した結果、最西端がメートル北北西へ移ったそうだ。「トゥイシ」の名で知られた岩だが、小型無人機(ドローン)を使った調査で大潮の満潮時も海面上にあるのを確認したという。最新の測位衛星は誤差数センチというが、逆に三角測量の技術もない江戸後期、初の実測日本地図を作った伊能忠敬を改めて振り返ってみた。簡素な縄や鎖、方位盤を用い、17年もかけて海岸線を歩いて写し取った。驚くべき正確さは、各所から測った山や星の位置を突き合わせ、入念に誤差を抑えたためという。足跡を追った佐藤晃之輔さん著「伊能忠敬の秋田路」を読むと、秋田県では計39日間を要し、晴れると必ず星を観測していたという。その地をいま揺るがしているのが、地上配備型迎撃システム「イージス・アショア」を巡る調査ミスだ。防衛省はグーグルアースの机上の値を誤使用して「適地」を選んだ。その安直さは米国兵器の購入ありきと疑いたくなる。私財で始め、国防上重要として幕府の支援も得た伊能は、測量隊員に禁酒を命じ、寝る間を惜しみ打ち込んだというが。結論ありきをまざまざと示した「いい加減な測量」。防衛省は伊能忠敬を見直って出直してほしいと思う。