■■ 喝! 天空海闊 ■■
2017年6月20日
幕引きするにはまだ早い!
歌舞伎では幕引きも大事な演出といわれている。演目や役者、演技に合わせて、幕を引くタイミングや速さが違ってくる。裏方さんの腕の見せどころだ。国会の舞台は、加計学園「総理のご意向」の段。ようやく役所が文書を出し、これから見せ場というのに、会期末の時間切れというのだ。幕引きを見計らっていたとしか思えない。さても「怪文書」呼ばわりは引っ込んだ。文部科学省が出した文書に「官邸の最高レベルが言っている」の記載ありだ。ところが内閣府は知らぬと。文科省に届いた内閣府のメールに官房副長官の指示とあるが、これも内閣府は否定する。ご両所のさやあてはなにを物語るのだろうか。はたして「1強」の首相が親友の学園のために意向を働かせたのか、役人の忖度が行政をゆがめたのか。先日の委員会を見れば、疑惑解明の正念場からほど遠い。委員長から注意されるほど、1強首相は同じ答弁を長々と繰り返す始末。国会舞台で当の主役が自分で幕を引こうしている図式ともとれる。大向こうからブーイングや半畳を入れたくなる。閉会中審査で続きをやるべきだ。政治家の十八番は、時間がたつうちに問題をうやむやにする芸。柝をチョンと打つのは早い。
共謀罪の審議を打ち切り、なぜ強行したか。学校法人「加計学園」の問題を気にしてのことらしい。丁寧に審議すれば国会が長引く。そうなると加計を巡る野党の追及が続き、世論の風当たりが厳しくなる。都議選にも影響しかねない。禁じ手を使っても、すぐ忘れてくれる。政権は高をくくっているようである。国民もみくびられたものだ。安倍晋三首相は19日、通常国会閉会を受けて首相官邸で記者会見した。首相の友人が理事長を務める学校法人「加計学園」の問題で政権批判が高まるなか、野党への反論など自らの国会対応を取り上げて「政策論争以外の話を盛り上げてしまった。深く反省する」と語った。「指摘があればその都度、説明責任を果たす」とも述べたが、具体的にどう国民に説明するかは明らかではない。ここで幕引きとしたい魂胆は見え見えである。時間経過とともに国民は健忘症になると踏んで、関心が薄らいでいくことが一番懸念される。つい先日の森友に防衛省問題。国民が与えた「数の力」でずんずん決まっていく。今回の共謀罪を含めて安倍政権のやることなすこと、近々手をつける憲法改正も、これからの国の在り方を大きく変える重要な案件である。だからこそ慎重に時間をかけてても国民との合意形成に注力すべきである。今回の横暴かつ強引な手法を絶対に忘れずにいたい。