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2017年6月11日
行先不明の核のゴミをどうするのだろうか?
福島原発事故が起きて6年を経過したが、26年後はどうなっているのだろうか。26年とは、人間にとって実に長い時間である。しかし、それほどの時間がたっても、その粉末は強い毒性を失わなかったということなのだろうか。日本原子力研究開発機構「大洗研究開発センター」の作業員被ばく事故。内部被ばくした男性職員らが開けようとしていた貯蔵容器は、1991年に封印され、その後26年間、開封されたことがなかったという。「点検の期間や頻度を定めた要領自体がなかった」と機構側は平然と言う。何ともあきれた話だ。26年の時を経たとはいえ、猛毒のプルトニウムである。安全管理に甘さはなかったか。問題の粉末はポリ容器に入れ、厚手のビニールバッグで二重に包まれていたそうだ。「プルトニウム」という言葉の物々しさと「ポリ容器」「ビニール」という日常的な響きが、どうにもそぐわない気がする。この粉末は実験で使う核燃料を製作した際に出た「くず」だという。だとしたら、こんな恐ろしいくずは聞いたことがない。保管の在り方は大丈夫だったか。核のゴミの一時貯蔵は30~50年。最終処分で毒性が下がるまで数千~数万年とも言われる。なのに、わずか26年でもうまく対応ができない。原子力は本当に人の扱えるものなのだろうか。原子力政策にまつわる時間感覚にあらためて違和感を覚える。
同じく日本原子力研究開発機構の高速増殖原型炉もんじゅ(福井県敦賀市)の廃炉基本方針案が示され、使用済み燃料は福井県の要望に応じて「再処理のため県外搬出」となっている。国内にはもんじゅの燃料を再処理できる設備はないことから、フランスなど海外に再処理を委託するの見込みだが。。。ただ国家間の交渉は容易ではなく、燃料が行き場を失う可能性もある。再処理ではウラン、プルトニウムを取り出し、再びプルトニウム・ウラン混合酸化物(MOX)燃料に再加工される可能性もある。少なくとも取り出した後の高レベル放射性廃棄物は日本に返還される。一般の原発から出る使用済み燃料は青森県六ケ所村の再処理工場で処理されるが、もんじゅで発生する使用済みのMOX燃料は対象外。日本原子力研究開発機構は当初、茨城県東海村のリサイクル機器試験施設(RETF)で研究を行い、東海再処理施設で試験の一部を進める予定だった。しかし2014年に施設の廃止が決まり、この計画も頓挫した。その先にあった第2再処理工場の計画も立ち消えになったままだ。先行き不明なままに核のゴミをどうするつもりか。その場限りの政策で経済振興のもとにお金との引き換えで原発を立地したが、行先が見えず漂流している現実を皆さんはどう考えますか。