■2021活動日誌 7月■
季節の日々の移ろい、自然の中で感じたこと、後世へ伝えたいことなどを思ったままに綴りました。皆さんのコメントをお寄せください。
2021年7月27日 晴れ/雨 29℃ (台風8号の影響)
宮沢賢治「雨ニモマケズ」
宮澤賢治の代表作・「雨ニモマケズ」
この詩は、宮沢賢治が病気で死亡する1年前に書かれた作品です。今、暑い最中、私の周りが高齢化に伴い、この文面にある行動の一部が我が家の現状のようであり、もう一度読み返してみた。
雨にも負けず 風にも負けず
雪にも夏の暑さにも負けない
丈夫な体を持ち
欲はなく 決して怒らず
いつも静かに笑っている
1日に玄米4合と味噌と少しの野菜を食べ
あらゆることを自分を勘定に入れず
よく見聞きし 分かり そして忘れない
野原の林の下のかげの小さなかやぶきの小屋にいて
東に病気の子供がいれば、行って看病してやり、西に疲れた母がいれば、行ってその稲の束を背負い、南に死にそうな人がいれば、行って怖がらなくてもよいと言い、北に喧嘩や訴訟があれば、
つまらないからやめろと言い、日照りのときは涙を流し、寒さの夏はおろおろ歩き、皆にデクノボーと呼ばれ、ほめられもせず 苦にもされず、そういうものに 私はなりたい。
2021年7月26日 晴れ 29℃
夏山が恋しい!
夏山シーズンである。感染対策には気を使わねばならないが、そびえる山々を前にするとなぜか気持ちが高ぶる。その思いを、そのまま表したような漢字が「嵩」である。「山」が「高い」と書く。まさに山が高くて大きいことを表し、「嵩(かさ)む」といえば物の分量や数が大きくなることだ。もっともこの言葉は、どことなく負の空気をまとうこともある。「経費が嵩む」「嵩張る」「嵩にかかる」などの用例があてはまるのではないだろうか。経済産業省が先ごろ示した2030年時点の試算で、原子力の発電コストが前回2015年試算時の「最安」から陥落した。災害やテロに備えた安全対策費のほか、事故時の賠償や廃炉に関する費用が膨らんだという。東京電力柏崎刈羽原発では当初2700億円の安全対策費を想定していたが、実際には1兆1690億円に急増した。代わって「最安」の座に就いたのは太陽光だ。脱炭素の潮流が加速し、普及が進むことでパネルなど設備の価格が下がると見込まれている。再生可能エネルギーの拡大に向け、追い風となることは間違いないと思う。そして原子力は発電コストに加え、事故時に避難できる手だての確保といった社会的なコストも嵩む。従来はコストの安さが強みとされたが、肩身が随分狭くなってきたようである。こんなことも考えながら、蔵王連峰をはじめとした夏山が恋しくなってきた。
2021年7月16日 晴れ 30℃ 梅雨があけました!
シナリオ通りに物事進まず!
当初、日本政府は新型コロナウイルスの猛威を鎮め、東京五輪を開催に導き、日本経済の回復と国民の信頼を取り戻すというシナリオを描いていた。ところが、その思惑が見事に外れている。何しろコロナ下の五輪を不安視する世論に耳を貸さず、「人類がコロナに打ち勝った証しとして開催する」「スポーツの力を世界に発信する」「安全・安心を最優先に対応する」と何以後とも五輪開催にこだわりつづけた。緊急事態宣言の発令と解除をたびたび繰り返し、「観客入り五輪」に誘導する姿勢を変えなかった。揚げ句の果てに第5波の脅威にさらされ、東京都ではん延防止措置から4度目の緊急事態宣言に切り替え、五輪も「ほぼ無観客」での開催を余儀なくされた。私から言わせれば、首相の“身から出た錆”である。景気を重視するあまり短期のコロナ対策に終始。国民に自粛を要請しながら、自身も含め政治家のルール破りが横行した。次々繰り出す施策に覚悟や熱意はなく、ワクチン接種も欧米に後れを取った。緊急事態宣言はもはや神通力を失い、世の中の徒労感は高まるばかり。まずは五輪よりもコロナ収束のシナリオだけは好転してほしいと願うばかりである。こうした先を見通せない国のリーダーがこのまま続けていいのだろうか。すっかり安心・安全な枕詞が不安・危険に変わってしまったようである。
2021年7月7日 雨/曇 20℃
自分の身は自分で守る!
毎年、この時季になると、大雨で災害が多発するニュースが多く流れてくる。轟音とともに黒い土砂と泥水が凄まじい勢いで周囲の建物をのみ込みながら斜面を下っていく。なぎ倒された電柱から火花がバチバチと上がっている。消防隊員とみられる人が危うく難を逃れた姿も収められていた。SNSに投稿された動画を目にして衝撃を受けた方も多いに違いない。静岡県熱海市で大規模な土石流が発生し、多数の住民の安否が不明となっている。土石流は繰り返す危険があり、現場での救助活動は慎重を要する。一帯は火山岩の地質で、勾配も急なことから渓流沿いに土石流が起きやすい地域だった。熱海市のハザードマップでも土砂災害警戒区域として注意を促していたが、避難した人々からは「こんなことになるとは思わなかった」「初めての経験」との悲痛な声が上がっている。土砂災害から身を守るためには平時の準備が欠かせない。多くの読者も住んでいる地域の土砂災害警戒システムのホームページでは土石流と急傾斜地の崩壊、地滑りの警戒区域を詳細な地図で確認できる。危険箇所は身近な所にある。自宅やまわりの地図を確認し、万が一に備えていきたいと思う。こんな中、やっと2回目のワクチン接種が終わった。ちょっと安心したが、今回の災害と同時にコロナ禍はまだまだ続きそうな気配であるので、国・政府はあてにせず、自分の身は自分で守ることを肝に銘じたいと思う。
2021年7月5日 曇 25℃
半夏生の言葉は響きだけでなく字面も美しい!
「半夏生(はんげしょう)」は響きに引かれる言葉である。響きだけでなく、字面も美しく感じ、辞書を引いてみた。夏至から数えて11日目、今年は7月2日に当たる。そこから5日間とする解説もある。半夏生は田植えの時期とされていた。農業が暮らしを支えていた時代は移りゆく季節に呼び名をつけ、農作業の目安にしていたのだろう。農と気象は表裏一体。「二十四節気」はよく知られているが、さらに細かく分けた「七十二候」があり、半夏生はその一つである。20年ほど前まで、年始めには新聞には「農事ごよみ」の特集面があった。各月を上・中・下旬に分け、1年を36に区分。米、麦、果樹、野菜など作物ごとに、その時期に必要な農作業が記されていた。台所や倉庫などに紙面を張っていた農家もあって、懐かしい思いがする。行政機関やJAなどが必要な情報は届け、指導もしている。新聞を参考に農作業をする時代ではないだろうが、農事ごよみは役目を終えたと思うが、田畑が広がる我が家の前の田んぼや畑を見ていると、私の川崎の暮らしは今も節気や候とともにあるような気がする。自然と気候と人の営みは生きていく上で切り離せないものである。今日も田んぼでは朝からシラサギが餌をつまんでいる。
2021年7月3日 曇/霧雨 22℃
幸せのお裾分け
今年も半分が過ぎた。小さな旅9の車窓から景色を眺めながら、医師で作家の鎌田實さんの記事「新しい時代の生き方のヒント」に目を通してみた。「幸せのお裾分け」と題して母の思い出がつづられていた。鎌田さんは貧しい家庭で育ち、たまに頂き物があるとうれしかった。「いっぱい食べるぞ」。でも、母は必ず近所にお裾分けをしたという。〈苦しい自己犠牲で人を助けなくてもいいけど、突然幸せがやってきた時、ほんの少しお裾分けしてみると、幸福感が増すことを教えられました〉 この心遣い精神を念頭に私も生きていければいいなあと改めて感じた。少し前まで「アメリカ・ファースト」なんて言葉もよく耳にしたが、国にしても「まずは自国」となるのは仕方ない。でも、そこにお裾分けの精神があれば、社会は少しずつ違った展開を見せるのではないだろうか。今、コロナ禍の中で中国は東南アジア諸国連合(ASEAN)各国への供給ワクチンが1億2千万回分を超えたという。「ワクチン外交」をてこに、影響力の拡大を狙っている。対抗する先進7カ国(G7)も途上国への供給を表明して巻き返しを図ろうとしている。提供を受ける側にすればありがたい支援でも、覇権争い、富める国の力の誇示になっては寂しい気がする。ワクチンとともに、お裾分けの心も一緒に世界へ広がればいい。みんなの幸福感を増すためにも。。。。そんな思いを脳裏に浮かべながら、小さな旅9は終えた。