■2015活動日誌2月■
季節の日々の移ろい、自然に中で感じたこと、後世へ伝えたいことなどを思ったままに綴ってみました。おつきあいください。
2月28日(土)晴れ 6℃
日本は山林が国土の67%を占める世界有数の森林大国だ。そのせいか、集落の近くには昔から緑豊かな里山が広がり、私もその恵みを受けて暮らしている。ある森林の本を読んでみると実際は大いなる誤解であったらしい。江戸時代から明治、昭和前半にかけ、日本列島は見渡す限りはげ山だらけで低木やササに覆われた貧相な山だった。江戸の浮世絵にもあるように「東海道五十三次」に描かれた山の景色は大半がはげ山で、せいぜい松の木がちらほらだ。戦前の写真も土砂がむき出しになっている。その原因は人口増加と樹木の過剰伐採である。家庭の燃料に、炭焼き用に、また建築資材にと次々と切り倒した。さらに畑地の開墾や土砂採掘で森林は一気に「はげ山化」した。しかし戦後は別の意味で荒廃が深刻化しているそうだ。化石燃料の登場や国産材の価格低下で木材を使わなくなった。そうなれば、人間の手が入らず放置された山林は、必然的に「密林化」し薄暗くて生き物の種類も限定される。現在は「守る森」でなく「使う森」が必要だという。つまり何も手を加えない森から、木材利用のために伐採や植栽を繰り返す森の営みが必要である。大型の発電のみならずボイラーや薪ストーブの普及が森林をよみがえらせる。その木質バイオマスエネルギーを少しでも目を向け、皆さんの住環境が許せば多くの人に薪ストーブ等を利用し木材を使ってほしいと思う。
2月26日(木)曇り/みぞれ 5℃
この季節はひと雨降るごとに温かくなると言うが今日は冷たいみぞれが夕方から降り始めた。春を運んでくるのなら、雨もうれしいが。。。今日は我が家の玄関のリフォーム工事日。日中は曇り空で雨にあたらず工事は順調に進んだ。ところが午後からはお笑い3人組ならむ旧人類組が現れ、あーでもない、こーでもないとおしゃべり談義がはじまり一時中断。でも笑わずにはいられず楽しいテータイムが始まった。話題はNHK籾井勝人会長の発言である。就任から1年余りたったのに、公共放送トップとしての見識を疑う話が今なお続いている。これでは現場も歩調を合わせるのに四苦八苦しているのではないだろうか。「政府が右と言うことを左と言うわけにいかない」に始まり、先ごろの会見では従軍慰安婦問題の放送についてこう述べた。「政府の正式なスタンスが見えないので…」。視聴者ではなく、顔は永田町を向く。ジャーナリズムとして権力を監視する姿勢が見えてこない。野党の批判を浴び、NHK経営委は会長に早急な事態収拾を申し入れた。全会一致でNHK予算が承認されないと懸念したようだ。やり手の商社マンだったからメディアの有能なトップになれるとは限らない。NHKのキャラクターで知られている”どーもくん”に似ている風貌だが、その中身はその傲慢さがにじみでているキャラクターである。
2月25日(水)晴れ 3℃
いつからおいしいと感じるようになったのかは分からないが、大人にあこがれて、苦さを我慢しているうちにコーヒーが欠かせなくなった。朝起きて1杯、職場で1杯、夕方に1杯といった具合である。最近はよくコンビニのいれたてコーヒーを飲むが、自分でいれる1杯は格別だ。豆をひくと香りが満ちる。お湯をそっと注ぎ、粉がむくむく膨らむ様を眺めるだけで心が落ち着く。コーヒを飲みながら庭を眺めると”まんさく”の黄色の花が満開に咲き誇っている。ファームを見渡すと雪も消え、耕運をまっているかのように黒い土が陽に照らされて輝いている。今日は早速、ジャガイモの種芋や野菜の種の仕入れにMホームセンターへ出かけた。平日でもあり店内は空いているが広すぎて商品の場所へたどり着くまで距離が相当ある。近頃の大型店は何でもそろってはいるが広すぎて、お目当ての物にたどりつくのが大変である。休憩にと、ここでもコーヒーをいただく。昭和のヒット曲「コーヒールンバ」が「昔アラブの偉いお坊さんが-」と歌うように、歴史をたどるとイスラム教の僧侶たちにいきつくとする説がある。ある宗派が夜を徹して神に祈るための眠気覚ましに飲んだという。すぐイスラム世界に広がり、主要都市に「コーヒーの家」ができた。神と向き合うためだけでなく、人々が集い、語らう社交場になった。欧州のカフェの原型である。コーヒーは宗教の壁を乗り越えて世界中に広がった。立ち上る湯気の香りと安らぎを世界中で楽しみたい。
2月24日(火)晴れ 8℃
朝一番、中国商談会の状況について報告会を行った。中国は安い人件費で製造ラインを構築して安い商品を大量に生産する図式はもう成り立たない。市場として採算がとれるかどうかの段階である。報告しながら昨夜からニュースで西川公也農水相が辞任した報道を思い出す。その理由は「いくら説明しても分からない人は分からない」からだという。同氏は昨年9月に発足した第2次安倍改造内閣で初入閣。政治資金などをめぐる疑惑が新聞等でにぎわせたが、安倍晋三首相は衆院選後の第3次内閣でも再任させ、今国会で国の補助金を受けた企業などからの献金が浮上しても擁護し続けた。こうした構図で思い出すのは第1次安倍政権当時の2007年5月、「政治とカネ」に関わって野党の追及を受けた現職農水相が自殺した一件だ。同相の釈明はしどろもどろだったが、この時も安倍首相は徹底して擁護し、農水相の死で、当時から重要課題だった農業改革は頓挫を余儀なくされた。野党民主が勢いを増す中で、与党は同年夏の参院選で惨敗。これに首相自らの健康問題も重なって、第1次政権は発足1年足らずで崩壊した。今回の辞任劇は第1次政権での苦い経験をもとに早々と準備していたかのように後任もすぐに発表された。とはいえ、西川氏に関わる問題がうやむやで落着とはいかない。自らの任命責任と合わせ「分からない人」に分かるよう説明するのは政治家ばかりではなく、一般社会のビジネスマンの報告も同じであると思うが。。。。
2月23日(月)晴れ 9℃
朝夕の空気はまだ冷たいが、日中の陽光は温もりを増してきた。寒風に肩をすぼめ縮こまっていた体が、気温の上昇とともにほぐれれば気持ちも前向きになる。<春よ来い早く来い>。童謡にも歌われるように、春は四季の中で最も待ち遠しい季節ではないだろうか。生命の息吹や、物事のスタートを連想し、期待を抱かずにはいられない。今日はパートナーとともに昨日、頂いた丸太の薪をチェンソーでエンジン音の心地良いうなりを響かせながら、約1時間をかけて薪ストーブ用(約40㎝)に切断した。終了後、今度は青根のチェンバロ製作者のKさん宅へ薪割機借用のため軽トラックに丸太を詰め込んだ。同じ川崎町でも青根地区は雪がまだ20㎝程度残っており、山道に入るとハンドルをとられるくらいまだまだ雪が残っている。パートナーは薪割機を使うのも3回目でもあるので、だいぶ慣れてきたようである。次々と丸太をレバーひとつで割ることに快感を覚えたような感じである。まさしく春は新たな挑戦への意欲をかきたててくれるような気がする。山桜がほころび始めるのはまだまだ先だが、周り一帯、雪に覆われているが、エンジン音の響きと暖かさでまるで春を実感できる陽気になってきた。鶯の鳴き声も遠からず聞くことができるのではと遅い春を迎える山里生活を思う存分楽しみたい。
2月22日(日)晴れ 8℃
リンゴ農家の暦は2月から始まるらしい。年明け最初の仕事となる剪定作業が本格化する時期だ。質の良い果実ができるように、要らない枝を切り落とすとともに将来の樹形を考えながら行う厳寒期の大事な作業だ。リンゴは、まずは栽培に適した気候が挙げられるが、それだけではない。消費者に好まれる新品種を開発し、そして栽培管理技術が大事だと、いつもリンゴを送ってくれる青森の友人が話す。地道な努力でリンゴ王国青森を築いて今年でリンゴ栽培140年になるという。先人の努力の賜物のおいしいリンゴをいつまでも引き継いでいってもらいたいと思う。今日は依頼された今年最後の味噌作り。大豆5㎏分で味噌としては15㎏程度になる。10月頃おいしい味噌ができるよう丹念に仕込んだ。”おいしいね”と言われ、年々注文が増えてきた。振り返ってみると今年は味噌を75㎏程度作った勘定になる。口コミで広がってきており”手前味噌”ブームかもしれないが。。そして午後からは2組のお客さんが薪をもってきてくれた。この時季、薪は本当にありがたい。おかげで今年の冬も薪に不自由せず過ごすことができて大助かりである。片づけ終了後、自分へのご褒美も兼ねて大森さんちの”クリスマスローズ展”へ。ビニールハウス内で甘い香りとやや控えめ気味の鮮やかな彩が輝いていた。ほっこりとした幸せのひとときを過ごせてうれしい。
2月21日(土)晴れ 6℃
2月には「梅見月」「初花月」の異称もある。我が家で借りている梅林はまだ赤い蕾であるが、もうじき白い花を幾つも咲かせるだろう。そして早春の到来を告げる目印でもある。自然の営みは着実に歩を進めている。今日は太陽のぽかぽかとした日差しが差し込み、アウトドア作業には最高である。今日は仲間3人と梅林の剪定作業を行った。徒長した枝がお日様に向かい伸びている。しゃべりながら7月の梅の実がたわわになることを期待しながら剪定作業にも力がはいる。日差しは日を追うごとに力強さを増しているが、北国には、春一番ならぬ「雨一番」という言葉がある。立春を過ぎて、初めて雪が交じらないで降る雨のことだ。冬の終わりを告げるように降る雨に、北国の人々は雪から解放される喜びをかみしめるのだろう。一雨ごとに木々が芽吹き、山が黄緑に染まっていく。目を閉じてそんな情景を思い浮かべると、寒さで縮こまっていた体がほぐれるだけではなく、へこたれそうになった心も元気づけてくれそうだ。作業終了後はつきたての餅で旧正月を祝う。ささやかな出来事かもしれないが、なんて贅沢なんだろう。日本の四季を味わいながらに昔ながらの風習を味わう。自然体でシンプルな生活を送るこのすばらしさを!!!
2月19日(木)小雨 4℃
週間天気予報に「雨マーク」が出てくるようになった。きょう19日は二十四節気の雨水。雪が雨に変わる頃という。日差しは日を追うごとに力強さを増しているが、風はまだ冷たく余寒も厳しい。2月は冬と春が目まぐるしく入れ替わる時期だ。家の前の畑の土の色が次々に広がっていく様子は、まるでオセロゲームの白が黒に変わる場面のようだ。ひと雨ごとに春が近づいてくる感じである。19日は旧正月でもある。春節を迎えた中国を中心に、観光客が日本に押し寄せている。ニュースを見ていると「金満」中国の富裕層の爆買いのけたたましい買い物欲は半端じゃない。電化製品、化粧品、薬、福袋セット。。。。増加する訪日外国人観光客の中でも、中国人の急増ぶりが目立つ。昨年の統計では1人当たりの平均消費額は23万円と断トツ。総額にして5600億円、外国人全体の3割近いマネーを日本に落としてくれた。日本土産の「三種の神器」は炊飯器、デジカメ、腕時計だったが、近頃は紙おむつ、化粧・医薬品、バッグ類などにまで購買範囲は広がる。欲しいと思ったら数十万円はポンと支払う。この買い物バブルはいつまで続くのだろうか。旧正月ではあるが、四季に恵まれた日本は、春が近づくにつれて暖かい雨を浴び、全てのものが生き生きとよみがえる。春は再生の季節であり、雨は生命への応援歌なのだ。春を前に週末は梅の剪定やら最後の味噌つくりが予定されている。春を待ちながらの一仕事。がんばんなくちゃ!
2月18日(水)小雪/小雨 2℃
さすが日本列島は細長い。「北と南でこれだけ違うのか」とあらためて思う。大型寒波の襲来で北海道は猛吹雪、東北・北陸の日本海側は大雪のニュースが流れる中、沖縄では緋寒桜が既に見ごろで「桜まつり」だという。雪国の2月は薄墨色のイメージだが、雪の下ではフキノトウが萌黄の芽を、福寿草が黄金の蕾を膨らませはじめているだろうか。そしていよいよ所得税の確定申告が始まった。ネット申請も可能とはいえ、何かまだ信用できず、手書きで確定申告書に記入している。9時半ころに提出に出かけたが、会場は個人事業主や医療費控除を受ける人たちでかなり混雑していた。我が家はすでに記入した様式と医療費控除の領収書を束ねて提出するので提出コーナーでは一番目ですぐにチェックしていただき完了した。でもよく見ると医療費支払いを計算すると約20万円ほどになる。加齢とともに年々、増加しているのが実感させられた。納税は日本国憲法で勤労、教育とともに国民の三大義務とされている。ただし同じ義務でも他の二つに罰則はないが、納税だけは違反すれば厳しく罰せられる。税金と聞いて思い出すのが映画「マルサの女」。国税局の女性査察官が経営者の脱税を摘発するコミカル仕立ての作品である。それはさておき、我々の低所得者がきちんと申告した税金がきちんと使われるよう望みたい。そして富裕層からの”富のしずく”はきちんと絞りとっていただきたいと思う。
2月16日(月)晴れ 6℃
朝起きてみると昨夜の風により、庭周りにはいろいろと木くず等が散乱している。本当に最近は暴風かのように年々、風が強くなってきている。今回の中国での商談会を通して、昔のビジネス感覚が蘇ってきた。その中で、モンベル(登山やアウトドア用品のトップメーカー)の辰野勇さんを思い出す。彼は40年前、28歳でこの会社を創業し、現在は会長でもある。辰野さんは21歳でアイガー北壁に登頂、当時の世界最年少登攀記録を打ち立てた。激流で知られるグランドキャニオンや黒部川をカヤックで下った冒険家でもある。自身が使って重宝し、ときには生死を分ける衣類や登山用品を開発、その売り方を工夫し続けて現在の地位を築いた。そうした経験を通して、人が生きていくために必要な力は「集中力・持続力・判断力、そして決断力」と確信し、勉強、スポーツ、仕事……その力を鍛える方法は無限にあると説いている。登山家として身に付けた細心の注意の大切さを強調。好天でもザックに雨具をしのばせ、日帰りの山行きでもヘッドランプは必ず持っていくようなリスク管理があって、初めて素早い決断力が生まれるとも言っている。一方で、流行の短期完結型収益至上主義を批判し、日本型終身雇用制度の利点を主張する。「目標は事業の成功でなく、人生の成功にあり」「お金には限りがあるが、知恵には限りがない」「どんなプロにも最初の一日目がある。そして今日がその一歩だ」などの警句も印象深い。ビジネスマンとしての生きていくために必要なことを思い起こされた。
2月15日(日)曇り/晴れ/風強し
昨夜から強い風が吹きまくり、田畑の雪も吹き飛ばす勢いである。帰国後の体調維持のため、今日は自宅ではラジオを聞きながら、出張の後整理や活動日誌記述等の作業で追われた。聴覚の5割をラジオやCD音楽に向け、本や資料を片付けたりといそがしい。テレビではつい画面に意識を奪われ、手がおろそかになる。音声だけだからこそ、説明が丁寧で分かりやすいケースもある。「ながら族」という呼び名が定着し始めたころの世代でもあり、勉強もラジオや音楽を聴きながらだった。「集中してやりなさい」と毎日のように親に叱られたが、習慣は抜けないようである。ラジオから流れる『早春賦』に、「まさに今の時季」と、相づちを打ちながら聞き入った。立春は過ぎたものの、季節は冬と春を行ったり来たりしており、ちょっと暖かい日があっても、すぐ逆戻りする。春本番が待ち遠しいが、ラジオの天気予報は「冬型の気圧配置が強まりまた寒くなる」。日によって寒暖差が大きい、体調管理に気をつけなければと資料や古い資料を整理しながら考えた。でも何となくすっきりした気分である。さあ、野菜つくりの計画をせねば。。。。
2月14日(土)曇り 3℃
「立春大吉」は縦に書くと左右対称。薄い紙なら表から見ても裏から見ても「立春大吉」。これを門口に貼っておくと、鬼が入ってきて振り返ったとき「まだ入ってない」と勘違いし逆戻りするそうだ。厄除けのお札に使われる。二十四節気の一番手「立春」で、暦の上では寒さも明ける春の初日で、それから10日あまり過ぎたが、寒さはまだまだ続く。「冴返る」の言葉があるように、たとえ寒さがぶり返したとしても、それは春を待ちわびる心の現れです。大吉の春が訪れますようにと祈りながら、中国の青島で春節を味わった。春節でもあり、街中は夜ともなると、花火や爆竹で騒音と煙が漂う。特に青島はドイツの異国情緒漂う街並み(東洋のベルリン)が残され、経済成長まっしぐらで高層ビルをはじめとした建設ラッシュが続いている。青島はブルーシリコンバレーをめざし海洋資源の技術開発に力を注いでいる。そしてこの地域は日本の幕張メッセの敷地の30倍程度の広さで、国家プロジェクトで海洋分野の集積の場として建設が進んでいる。もう昔の中国のイメージはなく、日本の高度成長時代における経済成長が優先する道程を歩んでいるかのようである。詳細は小さな旅コーナーでも紹介するが、中国は今や世界の生産工場ではなく巨大マーケットとして位置づけられており、外観だけは米国にいるような感じである。帰国して川崎町の我が家に帰り、家の前から見る田舎の風景、雪に覆われた田畑、四季の移り変わりをみていると、経済も大事であるが人は地域の風土、自然環境に順応しながら生活していくことの大切さを改めて感じている。
2月8日(日)曇り 5℃
今日はNPO川崎町の資源をいかす会の薪ストーブ会へ参加した。冬場のこの時期、我が家では来年の暖房用に薪をせっせと集め、薪棚に1年ほど寝かせ乾燥させる。里山資本主義ほどではないが里山の恵みを循環させながら生活サイクルをまわしはじめて、ちょうど6年になる。最近、日本では、仏の経済学者トマ・ピケティ氏の分厚い本が売れているそうだ。「21世紀の資本」。時間がある時でもじっくり読んでみたい本でもある。総中流どころか格差を広げるのが資本主義。そう指摘するこの本は、15年をかけて集めた3世紀にわたる20カ国以上のデータに基づくものである。富の分配の歴史は20世紀初めまでの欧州は上位の10%に、資本の80~90%が集まる「超格差社会」だった。大戦と復興で、各国とも格差は一時縮まるが、1980年代から再び拡大に転じ、今や米国では大戦前の欧州に近い貧富の差が現れつつあるらしい。経済成長のテンポを上回るスピードで資本を増やすことができる富裕層。それを相続して固定化していく。そこでピケティ氏は、富める者ほど負担の大きい累進所得税や世界的な資本課税を提唱している。日本の政策は今も大企業や富裕層が潤えば好循環が生まれるという「神話」に頼っており、いわゆるアベノミクスでもある。来日したピケティ氏は言った。「我慢すれば万人に恩恵が広がるという保証はない」。「この道しかない」と意気込む安部さんは相手にしないとのことが、どのように受け止めているのだろうか。
2月7日(土) 晴れ 5℃
今日の夕方3時過ぎに、久しぶりに青根のOHさんと一緒に青根のお祭り「雪あかり」に出かけた。まずはトン汁や味噌こんにゃくをいただきながら冷えた体を温める。雪灯ろうの中で炎が輝き始める。ゆらめく灯火が幻想の一夜を醸し出してくれる「雪あかり」が川崎町の冬の風物詩として発展することを願う。最近、国会TV中継を良く見るたびに、作家の故城山三郎さんの真骨頂である経済小説のひとつである「官僚たちの夏」を思い出す。主人公のキャリア官僚は「国家の経済政策は政財界の思惑や利害に左右されてはならない」の信念で突き進む。大臣にも抗弁した「ミスター・通産省」と呼ばれた実在の人物をモデルにしており高度経済成長を一筋に支えた。定年を迎えると天下りせず堂々たる余生を送る。こうした中、予算委員会の迫力のない、たんたんとした政府へのよいしょ質問が目立ち、論戦どころか身内への激励討論会模様のようでがっかりしている。そんな中、原発事故を起こした東京電力の決算は黒字という。お金は避難者に回すべきではないかと思うが、利益は融資する金融機関への返済や利息に充てると言う。国が税金により肩代わりする賠償金は5兆円を超える。事故の責任を問われ更迭された高級官僚は東電の株主の銀行や原発企業に、こっそりと天下る。原発事故関連死は1800人余を数えると言う。家族を亡くした悲しみに癒えない福島県民の窮状をよそに天下りで高報酬を得る後輩を「ミスター・通産省」はどう思うのであろうか。これが今の日本の現実である。「この道しかない」のか安倍さん。。。。。
2月5日(木)曇り 2℃
今日は日本全国、雪とのことで朝からニュースで大げさに都心の模様を中継している。こちらでは何ともないが、都会にとって数センチの雪でも大混乱を起こす力を秘めているんだなあと改めて感じる。朝早くから眼科(視野検査、眼底検査)へと出かけた。他人事と思っていたが、加齢とともに歯医者・眼科にお世話になる機会がめっきり増えてきており実感として感じるようになってきた。待合室ではNHK連続ドラマ「マッサン」が放映されており、いよいよ本格的なウイスキー造りにはいろうとしている。「マッサン」の舞台が、北海道余市に移ってきて佳境に入りマッサンの奮闘が楽しみだが、ここではまずはリンゴにまつわる話だ。ドラマは目下、「リンゴ汁(じる)」ならぬリンゴジュースの製造に熱が入る。ウイスキーの原酒が熟成するまでの間、工場の経営を支えるためだ。マッサンのモデルとなったニッカウヰスキー創業者・竹鶴政孝氏が余市から初めて世に出したのは、実はリンゴジュースだった。ワインも製造した。社名も創業当時は「大日本果汁株式会社」。「日」と「果」を取り「ニッカ」と命名されたらしい。原料は余市産。余市は道内有数のリンゴ産地で知られ、リンゴを「町の木」に指定している。最近はもっぱら食後にいただいており整腸剤の感覚で食べているが、一度、余市産のリンゴを味わってみたいものである。ひょっとしてウイスキーの香りがするのかもしれない。
2月4日(水)晴れ 3℃
きょうは立春。旧暦では年の始まりで、このあと雨水、啓蟄、春分、清明、穀雨と続いて、立夏までが春。立春から数えて八十八夜、二百十日、二百二十日は農作業の節目であると共に悠々ファームの今年の計画を作らねばと想いを巡らす。暦は巡る季節に目を向けさせ、人の営みを仕切る工程表でもある。とはいえ暦の上のこと、一気に春になるわけではない。風や光や水の感触、さらに草や木の息遣いなど、春の気配はほんの少しずつ。時には「余寒」「春寒」の季語のように、名残の雪や寒さも続く。うちの周りはまだまだ、雪で覆われているが、その中で黄色のロウバイが咲き始めている。ひらひらと舞う白い雪の中でその鮮やかさは春風を呼んでいるようにも見える。そんな中、我が家でも玄関周りの模様替えを行いながら、もう使わないものは思い切って処分することとしている。今年の目標であるシンプルな暮らしをテーマに生活の贅肉を少しずつ落としていきたいと思う。でも玄関先に置いている金魚とメダカの水槽だけは癒しの空間として残していきたいと思う。
2月3日(火)晴れ 1℃
今日は冬と春の季節を分ける節分。「福は内。鬼は外」と豆をまいて邪気を払い、明日の立春を迎えたいところだが、中東の過激派「イスラム国」による邦人人質の殺害という背筋も凍る寒気が国土を覆っている。首相は「テロリストを絶対許さない。罪を償わせるために国際社会と連携していく」と非難しているが、この「償い」がイスラム社会では強烈な意味を持ち、殺害には殺害をと受け取られているのではないだろうか。中東問題で日本は欧米と一線を画し、人道や経済を軸に支援してきた。イラク戦争でも人道目的に自衛隊が派遣され、復興活動を展開し、良き友人関係を築いてきたが、ついにテロ組織から「標的」と見なされた。人質を取り待ち構えている組織の鼻先で首相は「テロと戦う周辺国に2億ドルの支援」を約束。組織には人道支援も空爆資金に聞こえたようだ。いくら国が「テロには屈しない」と叫んでも国民一人一人は無防備。過激派は今後も日本人を標的にすると大胆不敵な発言を繰り返している。再び悪夢が起きないよう、祈りたいが我々は具体的にはどのような行動が必要なのだろうか。中国海外出張を前にちょっと不安になる。
2月1日(日)曇り&小雪 1℃
二十四節気の大寒から立春までの間が寒さの底と言われる。先週あたりは南からは梅の便りも届いていたが、こちらは今が一番凍てつくころだ。いつになく少ない雪が救いだったが、やっぱり降りだした。やはり油断ならない。日中は幾分気温が上がるものの、夜は氷点下に凍える日が続いている。三寒四温はもう少し先だが、今は逆の「四寒三温」ではないだろうか。今日は旅の疲れの癒しとして、我が家でゆっくりと音楽を聴いた。まずはサイモン&ガーファンクルの『サウンド・オブ・サイレンス』だ。この曲はダスティン・ホフマンの出世映画『卒業』(1968年)のテーマ曲として有名だ。青年期の心のゆらめきが、歌詞や旋律に投影される。なんか青春時代がよみがえるようである。外は吹雪が強くなってきている。音楽に浸っているはずだが、ついつい薪が気になる。この寒さが続けば薪の量は大丈夫だろうかと心配症になってしまい、ついつい外にでて薪運びをする。縁側ではふうかんきに入った、へそ大根や切干大根が風に揺れている。小さな存在感ではあるが寒大根は煮物にすれば汁をたっぷり含んで幸せな気分になれる。目覚めの味噌汁もまたうまい。大雪が里にやってくるが、真冬の寒さを味方につけた寒大根は先人の残した故郷の味でもある。先人の知恵と共に、じっくりかみしめながら春を待ちたい。